少し見ない間に成長した2人

くまのプーさんとうい業界ナンバーワンの熊キャラクターがいる。

 

この熊キャラクターの玩具は、

赤ちゃん市場にも参入しており、うちにもひとつある。

 

そのおもちゃを、

妻が実家に置き忘れてきてしまってから、一ヶ月が経つ。

 

プレゼントでもらったものだった。

柔らかいクッション性のある材質で、棒状になっており、

その棒の上にくまのプーさんの顔がついているというもの。

 

私の幼少期にペッツというお菓子があったのだけれども

それに似ている形状である。

 

赤ちゃんおもちゃくまのプーさん

<娘、うまく持てなくて落としまくる>

このおもちゃ、棒状の部分、

つまりプーさんの胴体部分をニギニギすると、

プーさんが鳴くというおもちゃであって、

これ、娘に握らせても握力がないので、ぜんぜんニギニギできず、

プー的には鳴くに鳴けないでいた。

 

そこで見るに見かねた大人達(妻や親族)が

ニギニギして、プーさんを鳴かそうとするのだけれども、

大人は逆に握力があり簡単に鳴かすことが出来るため、

手に取ると面白がられて試しにプーさんは連発鳴かされている。

 

この鳴き声が、なんとも言えない音で、

(おそらく娘には不快音と思われる)

娘は眉間にシワを寄せながらマバタキし反応する。

その反応が大人には面白いらしく、さらにプーさんは連発鳴かされている。

そして娘はそのたび苦渋を味わっている。(と思われる)

 

 

それが先日、

 

「プーさん帰ってきたよ」と妻が娘に話している。

 

実家に帰った際、妻がプーさんを引き取ってきたのであった。

 

妻が娘にプーさんを渡すと、娘は不慣れな手つきでうけとった。

 

そして、ややあってから、

 

「ペー」と

熊が鳴いた。

 

私は驚いた。

娘がニギニギできたのである。それでプーさんが鳴いたのであった。

 

娘いつのまにか、握力をつけたのだ。

娘、成長してる!

私が心の中でガッツポーズしていると、

 

また「ペー」と

熊が鳴いた。

 

さらに、と私は思った。
さらに、この熊め、
いつの間にかイイ声で鳴くようになりやがったよお。
なんていうかこう、いい意味でよ?
いい意味で、気が抜けるよお前さん。
いまどきで言うと、ほっこり、なんていうのか、
言わないか、あそう、ハハハハハ、
ええ、いやぁ、いつのまにそんな声になったんだい、
もお、もお、その鳴き声で『森のくまさん』歌ってほすぃから!

 

 

私はとても嬉しい気持ちになった。 

 

娘は娘で、握力がつき、ニギニギできるようになったし、

熊は熊で見ないうちに、笑える声で鳴くようになった。

いつの間にか、二人は成長した。

 

「熊のペーさん」

と、私はつぶやいてみた。

 

人を襲う熊、鮭を咥える熊、山から下りてくる熊、クマ出没注意・・・と様々に多様化したクマがこれだけ世界中にいる中、

 

我が家に居る熊は「ペー」と鳴く。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

『いとしのペー』

鳴かせた  ことも  ある

冷たく  しても  なお

寄りそう  気持ちが  あれば  いいのさ

俺に  してみりゃ  最後の  ベアー

ぺー  マイ ラブ   ソー ニギー