娘は5ヶ月目にして、
寝返りを、できるようになったのであって、
あれ一度できるようになると、コツを掴むのか、
その日を境にして急激に何度もするようになるのだが、
できるようになったのは、仰向けから、うつ伏せであり、
そこから戻れなくて泣く、ということを繰り返して20日ほど経った。
寝返りを頻回にやるので、
今度は!ついに!ハイハイを!しだすのではないか!と、
私は期待せずにはいられなかった。
ハイハイしだしたらさぁ、と妻と話していた。
「ハイハイしだしたらさぁ、家具や家電などに突撃しても大丈夫なようにしておかないとな、アハハハハ」
そうして、ベビー屋さんに行けば、
家具の角に貼るゴム製のクッションを触る日々が続いた。
ハイハイ、はターニングポイントである。
自ら移動ができるようになるのだから。これはきっと、する方も、見る方も、楽しみなことだ。
娘のハイハイ開始が、あまりにも待ち遠しいので、
そうだこの俺はどうだったのだろう、生まれていつから、何カ月ごろから、ハイハイを始めたのだろう、
それが知りたくなって、母親に電話、
「俺は生まれてどのくらいでハイハイしだした?」と聞いてみたところ、
「お前、ハイハイはしなかった」と言われた。
カブトムシなら泣いて飛んで行きたいと思った。
その日の夜。
気を取り直して、赤ちゃんがハイハイに至るまでを調べた。
すると、ハイハイするまでに良くする事のひとつに、
ずりばい、というのがある事を知った。
ずりばい、とは匍匐前進(ほふくぜんしん)したり、お腹を中心に円を描くように動いたりすることらしいことがわかったのである。
ずりばいは、ハイハイの前段階のようだ。
それはわかったのだけれども、
どうしても、私は「ずりばい」という文字が出てくると、なんと言いますかあれなんですが、ぱいずり、と読んでしまいそうになって、今、読んでしまいそうになってと言いましたけど、こうなったら、ぱいずりと読みたい、いいよ、ありがとう、ぱ、い、ず、り、そう、それで、それから「ずりばい」は、ある意味、ぱいずり、の業界用語かと思ったYO!みたいな、ハハハハハ、勝手に?脳が?読んでしまう?みたいな?レミオメロンみたいな?メロン好きみたいな?まぁそれはいいんだけど、それで、もう一回ね、もう一回、ずりばいって画面を見てみるんだけどどうしても、ぱいずりと読んでしまうの、もう、ぱいずりでもずりばいでもどちらでもいいような気がしてきて、どちらかと言うとずりばいさんに悪いよ、ごめんねずりばいさん、でもでもひさびさに、ぱいずりって響きがさ、脳内かけめぐったことの方が、なんかこう、良いのなあ。
スピッツさんのチェリーという曲の歌詞で、
あいしてるの響きだけで 強くなれる気がしたよ、というのがある。
それに対して、
ぱいずりの響きだけで 強くなれる気がしたよ、そう世のお父さんは、総じて思っている。